2008年10月1日水曜日

醸してみた Vin Bourru ヴァン・ブーリュ

赤ブドウの収穫も始まりました。
先週末造り手の所から、白ブドウジュースをもらいそのままにしておいたら、アルコール発酵が始まりました。
ボルドーでは、この状態(アルコール発酵中のワインに成りかけのもの)を「ブーリュ」という名で売っています。
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私が大昔に書いたものがあるのでご紹介。
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<もう一つのヌーボー>

11月に入り、いろいろなワイン系メルマガを読んでいてもボジョレ・ヌーボーの案
内が出てくる季節になりました。
ボジョレという言葉は、ボルドー地方のこと、または、ボルドー人のことをボルドレ
(Bordelais)と言うように、ボージュ(Beaujeu)地方、ボージュ人のことをボジョ
レ(Beaujolais)と呼ぶ。という意味です。
ですから、ボジョレの本当の中心地は、モルゴンやムーラン・ナ・ヴァンではなく、
ボージュという街であり、当然のようにボジョレ・ヌーボーのお祭りはボージュで開
かれます。
私はこのお祭りに二度行きましたが、それは楽しいものでした。ボジョレ・ヌーボー
の造り手のオヤジが直接皆に自分達のヌーボーを惜しげもなくタダで振舞ってくれる
ので、夜12時の解禁後およそ1時間ぐらいで、皆出来上がります。その後、知らな
い人だろうが肩を組み、訳のわからない歌をみんなで歌いながら踊り、さらに酔いが
回り・・・と長い夜が続きます。

ちなみに先々週、ボジョレに行ってきたのですが、今年の出来はとても良いようで
す。


さて、今回のテーマであるもう一つのヌーボーとは、ボルドー地区で造られる白ワイ
ンのヌーボーのことです。

九月の中旬ぐらいから、ボルドー近郊の田舎町に行くと、至る所に「Vin Bourru」
(ヴァン・ブーリュ)という看板を見かけるようになります。
このワインは白ワインを発酵途中でビン詰してしまい、コルク栓も打たず、天辺に炭
酸ガスを抜くための小さな穴が開いたキャップシールだけかぶせ、ひどいとラベルも
無しで売っている、それこそBourru (ぶっきらぼう)なワインなのです。

しかし味わいは、発酵途中のため天然のブドウの甘味が残っていて口当たりがとても
よく、また炭酸がこの甘味を洗い流し、九月のちょっと暑い日にブゥリュをギンギン
に冷やし、いっきに飲み干す快感は、風呂上りのビールにも負けない爽快さがありま
す。

これを一度知ってしまってからどうしてもこのワインのことについてもっと知りたく
なり、いろいろな造り手に聞いて回ると、意外な一面が浮き彫りになってきました。

私は、ボジョレというヌーボーは華やかなマーケティングに乗ったワインのイメージ
が強かったので、それに対抗して造られたのであろう。とぐらいにしか考えてなかっ
たのですが、実際の所、白ワインを造るシャトーの大部分が、ボルドー白ワイン不況
の影響で、通常の白ワインを製造してビン詰しても、売り先がなく、かといってタン
クに入った状態で、ボルドーネゴシアンに売っても大した利益にならない。といった
苦肉の策で産まれたワインであると理解した時に、なぜ、コルクを打たないのか、ラ
ベルも貼らないで売るのかやっと理解することができました。

現在のアペラシオン・ボルドー白の価格はひどいものです。私の会社にもたまに不良
在庫になった白ワインのオファが来ますが一度、7フラン(120円/1本)という
のがありました。ビン代、ラベル代、コルク代などを払ったらシャトー側に残るのは
ほとんどゼロになってしまいます。

また、ボルドーのネゴシアンにビン詰前のワインをバルクで売っても一リットル3フ
ラン(50円)程度でしか買ってもらえず、これでは、トラクターのガソリン代にも
なりません。

ところがブゥリュは大体20フラン(340円/1本)ぐらいで、売っています。ブ
ドウを収穫し、無事発酵が始まれば、後はビン詰するだけという非常に管理が簡単
で、収穫から決済までの時間が短く、さらにコルク代、ラベル代も浮かすことが出来
る・・・

こんなことが分かってから、ブーリュの味が少しだけ苦く感じるようになりました。

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これを書いたのは7年前。
その後、多くの生産者は白ブドウの木を引き抜き、メルロに植え替えて生産量が少なくなってしまい、去年からボルドー白ワインの価格が高騰しています。

さらに今年は、特に白ブドウの畑で春の遅霜の被害が多く、花付きも良くなく、白ブドウの収量が激減しています。
霜の大被害があった91年よりも少ないらしい・・・

ボジョレ・ヌーボーに替わる新しい商材として、何とかこの「ぶっきらぼう」を日本に送れるよう前から努力していますが、今年は生産量が少なくて難しそう。

「ぶっきらぼう」本当に美味しいですよ。
アルコール分は発酵の段階で変わりますが、まだ発酵が始まったばかりなので、アルコール度数は3%ぐらい。まだ私には甘すぎ。(まだ残糖が180g/Lぐらいあると思う。)
あと、2日後くらいが最高でしょう。

いつか日本に届けたい。
今日は申し訳ございませんが、発酵中の動画をお楽しみ下さい。。。




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2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

Vin Bourru
飲みてぇ~。(^o^)

発酵中のこの音!
どぶろくをを思い出しました!

ウノコムかとう さんのコメント...

ケン太さん
こんにちは。
そのとおりどぶろく状態ですよ
発泡日本酒と同じですかね